Thursday 31 October 2013

盲ろう者の宇宙:盲ろう者福祉に関する公開セミナー

10月8日は、盲ろう者福祉に関する公開セミナーが行われ、約120人ぐらいが参加しました。参加者はウズベキスタン全土(ブハラ、サマルカンド、カシュカダリヤ、スルハンダリヤ、フェルガナ、ナマンガン、コーカンド、アンディジャン、ジザフ、ナヴォイ、カラカルパクスタン共和国など)から、ろう者協会の代表、ろう者特別支援学校、ろう者スポーツ協会、障害当事者団体、手話通訳者、と障害当事者の方々がセミナーに参加しました。

セミナーにて、福田さん、フドルちゃんと、通訳介助者の杉浦さん

タシケント市ろう者文化センターの映像監督であるコミルさんが日本へ行って、盲ろう者に対するサービスについて知り、感動して「これからウズベキスタンの盲ろう者の支援に必要なことは何だろう?」と考えました。それが、このセミナーを実施するきっかけとなりました。

セミナー開会では、タシケント市ろう者文化センターの会長グサルさんと、JICAウズベキスタン所長がスピーチしました。コミルさんがリーソースパーソンの紹介した後で、東京盲ろう者友の会が作った「知ってください、盲ろうについて」のビデオ放映がありました。

盲ろう者のタイプによってコミュニケーション方法も違います。
ウズベキスタンの手話通訳者は、一日中休憩なしで働きます。日本の手話通訳者は30分ごとに交代して休憩を取ります。セミナーの時のコミュニケーション方法は、ちょっと難しかった。なぜかと言うと、最初に盲ろう者が言ったことを通訳介助者が日本語に通訳して、その後言語通訳者のマリカさんがロシア語とウズベク語に通訳、その後ウズベキスタンの手話通訳者ミノワルさん(写真)がろう者に手話通訳します。最後にウズベキスタンの盲ろう者の方のために通訳介助者が触手話で説明します。
村岡さんが日本の盲ろう者福祉について紹介しています。

東京盲ろう者友の会は、目も見えない、耳も聞こえない障害のある人の自立と社会参加を支援しています。盲ろう者は、目と耳の両方に障害があるため、生活する上で、また他人とコミュニケーションを取るために、通訳・介助者の支援が必要です。日本の盲ろう者は、全国盲ろう者センターの様々な支援を受けて、自立した生活を送っています。調理や洗濯、買い物、日常生活における活動を、センターから派遣される通訳・介助者が手伝っています。

ウズベキスタンの障害者は、東京全国盲ろう者センターの事業内容について知って、すごく感動しました。「ウズベキスタンでも、盲ろう者のために同じようなセンターを作ろう」と言う動きが出てきました。ろう者文化センター会長グザルさんが、ウズベキスタンの盲ろう者のために通訳・介助者サービスを提供できるように準備を始めています。普通の手話通訳者に比べて、通訳・介助者は盲ろう者に一対一で支援しなければなりません。その為、ウズベキスタンで通訳・介助者の数を増やすことが必要だ、とグザルさんは言いました。

コーヒーブレイクのときのお喋り
福田さんが、どうやって一人で「コルジンカ」と言うスーパーへ行って買い物をしたのか説明しています。そのスーパーで買った人形も皆さんに紹介して、「フドー」と言う名前をつけました、と言いました。「フドー」はウズベク語で「神様」の意味だから、参加者はびっくりしました。日本に戻った後、福田さんは「フドー」の代わりに新しい名前「フドル」に変えたらしい。
物品寄贈式:全国盲ろう者協会(右、村岡さん)から、ウズベキスタン視覚障害者協会(左、部長シャウカットさん)へ。点字タイプライター、白杖、点字器などが寄贈されました。
物品寄贈式:全国盲ろう者協会(右、村岡さん)から、ウズベキスタンろう者文化センター(左、会長グザルさん)へ
written by Murato
corrected by Ohno san
photographer Yasuta Kazuki

Monday 28 October 2013

盲ろう者の宇宙:盲ろう児と大人の盲ろう者の実態調査

10月5日は、フォローアップ協力「タシケント市における盲ろう者のコミュニケーション技術支援:盲ろう者についての啓発および通訳介助者養成」プロジェクトの活動の初日でした。その日はタシケント市とタシケント州(オルマルク、クイチルチク、クブライなど)から盲ろう児(11人)とその親族が実態調査に参加しました。

日本からは、全国盲ろう者協会の福田さんと村岡さんが、4人の通訳介助者と1人の身体介助者と一緒に、ウズベキスタンのタシケント市にいらっしゃいました。

福田さんは、全く見えず全く聞こえない方です。石井さんは福田さんの目と耳の代りをします。
コミュニケーション方法は「触手話」です。(Photo by Yasuta Kazuki)

盲ろう者とはどういう人でしょう? 東京全国盲ろう者協会によれば、目の障害に加えて、耳の障害がある人を「盲ろう者」と呼んでいます。その見え方と聞こえ方の程度によって「盲ろう者」は次の4つのタイプに分けられます。

  1. 全盲ろう・・・全く見えなくて、全く聞こえない人
  2. 全盲難聴・・・全く見えなくて、少し聞こえる人
  3. 弱視ろう・・・少し見えて、全く聞こえない人
  4. 弱視難聴・・・少し見えて少し聞こえる人

私は両方目も見えない、耳も聞こえない世界を想像できないです、あなたは?すごく怖いのではないかと思います。

世界的に有名な盲ろう者の人は、ヘレン・ケラーです。日本では、盲ろう者が約2万人がいます。ウズベキスタンの盲ろう者の数は、はっきり分かりません。でも、そいう人がウズベキスタンにもたくさんいると言われています。全国東京盲ろう者協会は日本の盲ろう者のために色んな支援していて、その貴重な経験をウズベキスタンの盲ろう者に伝えるために、タシケントへやってきました。

一週間のプログラムの初日、タシケント州とタシケント市内の盲ろう児とその親が集まりした。左から二番目:ショディヨルくん(8歳);右端:ドロブくん(7歳)。子供たちは、いっぱい遊んで楽しみましたが、とても煩かった。やっぱり障害と全く関係なく子供は子供ですね。

盲ろう児(施設入所児童)のオモンボイくん(6歳)とボランティアのシャフローさん。オモンボイは全盲ろう(目が全く見えない、耳が全く聞こえない)の子供です。午後には彼の体調が悪くなって、お腹が痛くなりました。

翌日10月6日は、大人の盲ろう者が実態調査に参加しました。

弱視ろうの村岡さんが、杖を使っての歩き方をソジダさん(39歳、ろうベースの盲ろう者)に教えています。ソジダさんは今まで杖をあまり使ったことがなく、外を歩くときには、いつも夫に手伝ってもらっていました。

全盲難聴のトゥルグンさん(48歳、左端)が点字の書き方を勉強しています。トゥルグンさんは少し聴力が残っているから、聞こえやすいように集音マイクを使ってコミュニケーションしました。
触手話でコミュニケーション:コーカンド出身のナビジョンさん(49歳、ろうベースの盲ろう者)と福田さんが、ちゃんとコミュニケーションをとっています、日本とウズベキスタンの手話は違いますけど。
福田さんが日本から盲ろう者の方が出来るゲームを持ってきました。

翌日、10月7日、参加者は二つのグループに分かれて、一つのグループは村岡さんと一緒にミラバット・バザールに、他のグループは福田さんと一緒に近くにある「コルジンカ」と言うスーパーに買い物しに行きました。
ウズベキスタンの盲ろう者の方は、外にあまり出かけられないから、すぐに疲れてしまいました。日本では、東京全国盲ろう者協会が盲ろう者の自立と社会参加するための色々な支援をしています。例えば、盲ろう者が自分で買い物をしたい時に、協会は通訳介助者を提供します。

ウズベキスタンの信号は、日本の信号より赤くなるのがとても早いため、障害者の人が安全に渡ることが難しいです。盲ろう者の方が渡るのは、本当に危ないです。

「これから何をしましょうか?ホテルへ帰りますか?もう疲れていますか?」

歩道の方は道がガタガタだから、車いすに乗っている人はいつも車道を行かなければなりません。しかし、車道のほうも車が多いから危ないです。どうしよう?!
(文責:ムラト)
Photographer: Yasuta Kazuki